亡くなった母に認知症の気配を感じたのは五目寿司でした。母は煮物が上手で、近所でお葬式があると、母が台所に立って煮物を作っていました。昔はお葬式は斎場ではなく自宅だったので…五目寿司も野菜や乾物を一つ一つ煮て作っていました。ある日、母から五目寿司を作るから食べにおいでと電話があり、久し振りの五目寿司を楽しみにして行くと、すし太郎か何かの即席の五目寿司が出て来たのです。何で母が…と思った時が認知症の始まりでした。先日、職場で調理実習に五目寿司というメニューが上り、私はかんぴょうや干し椎茸を煮て…と思っていたら、すし太郎使ったら卵焼いて、でんぶのせるくらいよ!と言われびっくりしました。これじゃ、家庭の味なんてないかも〜と思っていたら、今はお袋の味じゃなくて、袋の味だよ!と言ってた人がいました。味の記憶は細胞に刻み込まれるのか、亡くなった後もお料理の味は思い出されます。先日、初女さんの南瓜のスープが食べたくなって作ったのですが、すり鉢ではなく、ミキサーを使ってしまったので、初女さんの味には届きませんでした。 今やお料理は時短簡単の世界です。それで出来た時間で、私達は何をしているのかな〜初女さんは、心をかけることは、手をかけること手をかけることは、時間をかけることと、言われてました。自分の時間をどれだけ人に差し出せるかとも言われてました。 食はいのち。食材もまたいのち。食は生活の基本です。
食をおろそかにすると生活が乱れてすべてのいのちに鈍感になります。食を大切にする人は、人をも大切にします。 佐藤初女
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